あえてサビサビに見せるラット塗装

ラット塗装とはどんなスタイル?

ラット塗装というのは、ペイント技法の一つであえて金属が錆びた雰囲気を出した仕上げにするものです。
金属の錆が見えることで、古くてくたびれたような雰囲気となって、ビンテージ感が強くなります。
この途方方法はバイクだけでなく、自動車や看板、アート作品など幅広い用途で用いられています。

錆びの色は茶褐色ですが、単にそのカラーを吹き付けていけばラット塗装になるというわけではありません。
加工を施す部分と面積、正常な色との境目などのバランスが非常に難しく、技術の必要な塗装となります。
また、いかにして本物の錆びに見せるか、単に汚い朽ち方ではなく味のあるアンティーク間を醸し出すかというのはセンスによるものも大きく、作る人によって雰囲気が大きく変わることもあります。

また、どのバイクにラット塗装を施すかというのもポイントとなります。
やはりこの塗装はクラシック感を出すためのものですので、ボディーのシルエットやパーツの見た目が現代的だと、ラット塗装をしてもミスマッチとなってしまう恐れがあります。
最近のモデルだと、見る人も新しいバイクだという認識がありますので、こんなに劣化するわけはないと思ってしまってイメージが崩れる原因となります。
やはり、それなりの年数を持つクラシックな車両の方が、いわば説得力のある仕上がりとなるのです。

もちろん年式に関わらずラット塗装を施すことは可能で、レトロデザインのモデルでは特にそうです。
ただし、塗装のメリットを生かすには、プロレベルの技術とセンスが必要となるので注意が必要です。

また、ベースとなる塗装にも注意した方が良いです。
真新しい塗装だと、錆びをいくら演出しても何となく作り物という雰囲気がぬぐえません。
そのため、ベースカラーも含めてレトロな感じになるように全体の塗り直しが必要になるケースが多いのです。

ラット塗装の方法について

まず剥離剤を使って、今の塗膜をすべて剥がします。
剥がした部分にプライマーという塗料が乗りやすい薬品を塗って、下処理を行います。
そこに、ベースとなるカラーを塗布します。
この際、ラット加工に合うように彩度を落としたメタルチックの色や、ベージュのようなレトロなカラーを選ぶのがコツです。

その上で、錆びの雰囲気を出すためのエイジング塗料をウエスに付けて、少しずつ叩き塗りしたり擦ったりして風合いを出していきます。
ベースカラーと錆びの部分のバランス、濃淡の具合などによってセンスが出てくるところですので、全体を見ながら作業を進めていきましょう。
また、錆びの部分が多くても雰囲気が悪くなりますので、まずは小さい面積から始めて、少しずつ広げていくようにすると調整がしやすいです。